月子は商売に没頭した。
カウンターにいる男がママの旦那だと、古い常連が何人も逃げていった後の事、心を精神を入れ直し、頑張るしか道はなかった。
もう原田金庫は当てにはならない。
自分の力で何とかしなければ……。
従業員の教育も怠らず、自身も、新規の客は絶対に逃さない心持ちで毎日働いた。
日々は忙しく過ぎるものの、月子の内心は……頭の痛い問題から抜け出せた事に喜びを感じていた。
そぅ、カウンターに原田の存在が無くなった。
店にいる間だけでも、原田から解放される。
ムーンライトの営業時間のみ、月子は自由。
が、その自由の裏側には、今までよりもきつい愛が月子を待ち受けていた。
原田は、毎日毎夜、月子の帰りを今か今かと、部屋で待つようになった。
原田の金で買ったマンションだ、月子には文句が言えない。
月子の帰宅が少しでも遅くなると、原田がジャンジャン電話してきた。
月子の体は…店以外、見えぬ縄で縛られていた。
今宵も待っているのだろう…あのズングリムックリ…ベッドの横にティシュボックス準備して………。