ゴールの先に月子が見える。
敷物ひいた上に、月子が微笑み座っている。
手で握られたおにぎりを横に、俺のゴールを待っている。
月子~ここで死んだら、もうお前に二度と会えなくなってしまう。
走らねば…先に公園が見えてきた。
深夜の公園は静まりかえっていた。
追っ手とは距離があいた。
俺は公園に忍び込み、公衆トイレに駆け込んだ。
ここで行方くらまし、身を屈め息を潜め…暫くの間、追っ手が通り過ぎるのを待とう。
観音さんよ、どうか俺を見守っててくれや………。
トイレの窓から見えた、煌々と輝く真ん丸いお月さん………。