深夜過ぎ、料亭「花隈」の前に、黒光りしたベンツが停まっていた。
運転席に人が…先程から待機している。
陰から、その車をじっと見ている男が一人。
黒子のように全身黒の服装、サングラスにニット帽。
今宵限りのヒットマン、その名は修二。
もうそろそろ、標的が出てくる筈。
運転手が車から出てきて、後部座席のドアを開けるだろう。
標的は、ボディーガードと共に乗り込む筈だ。
先ずは、運転手目掛け一発、透かさずボディーガードに二発目、撃つ場所は何処でもいいが、狙い目は下半身だ、それは追いかけ防止の攻撃。
三発目は…沢田、これは的を外してはいけない。
必ずこの世から抹消しなくては、俺の将来がかかっているんだ。
心臓ぶち抜き、俺は逃げる。
走って走って、この先に停めてあるレンタカーに乗り込み、そのまま大阪まで走り抜く。
二日前に、大阪に行きホテルは一週間とってあった。
俺は、ずっと関西にいた事になる。
アリバはイ完璧に作った。
標的の行動も事前に調べ上げ、準備は整った。
後は、シナリオ通りに動くだけだった。