月子を送り届けた修二は、そのまま飲み屋街へと向かった。

路上に無造作に車停め、ネオン街を歩く。

雑居ビルの中を黙々と歩く。

目的地に向かって……。

と本通りから修二の姿が消えた。

暗い細い路地裏に入って行った……。


古びたバー「ボン」
のドアを開けた。

5人程しか座れないカウンターの内に、初老のバーテンが一人、カクテルグラスを丁寧に磨いていた。

客はゼロ…修二は端のスツールに腰下ろし、低い声を出した。

「ドライマティーニ、ブラック」

バーテンが修二を見る。

目と目が言葉を交わす。

バーテンは後ろを向き、シェーカーを手にする事もなく、何やらごそごそとバック棚から、新聞紙に包まれた物体をカウンターの上に置いた。

修二は、ポケットから1万円札を数十枚取り出し、それと引き換えにカウンターに置いた。

バーテンは、札をかき集め数え始めた…無言で…。

その物体とは…修二が初めて手にする25口径のチャカ(拳銃) だった。