カトレアは今宵も盛況。
まだ指名がないホステス達は隅で待機している。
誕生日に集中して客を呼んだ月子も、今日はまだ客はなく、絵理子と待機していた。
指名客なんかいなくても、月子の心はどっぷり満たされていた。
指にいつも修二がいる。
キラキラ輝く小さな石は、凝縮された修二の魂……自分の手を見る度に、月子はうっとりした。
「月子、その指輪凄いね、素敵~」
絵理子が言った。
「そうかな…」
月子がはにかんだ。
「私も…そんなのくれる彼氏欲しいなぁ…」
「彼氏って訳じゃ…」
「月子、何とぼけた顔して!」
彼氏…彼…恋人…男…皆はそう思ってるんだ。
まだエッチした事ないって…いったい誰が信じるんだろう。
誰も信じないわよね。
真実は一つ。
この真実知っているのは…この世で二人。
修二さんと私だけ…。