それから次から次へと客席回る月子。
知らない間に修二は消えていた。
頑張れよ…と絵理子に伝言残して……。
久しぶり会えたのに……もっともっと話したかったのに……。
月子は、今日の主役に似つかわしくない、すっかり意気消沈してしまった。
月子は部屋に帰ってから、紙袋を開けた。
鑑定書付き、2カラットのダイヤモンド。
何! これ? こんな高い指輪?
月子は直ぐに携帯持ち発信、
「もしもし、修二さん」
「月子」
「今見たの…どうしよう、私…こんな高い物貰って……」
「指のサイズわからなかったから、もし合わなかったら、そこの店に行ってきなよ、直し代はとられないよう、ちゃんと話してあるから」
「こんな高い物貰って…」
「気にするなよ、おにぎりのお返しさ」
そぅ、修二にとって、月子の握ったおにぎりとダイヤは同じ価値だった。
この宝石……いつか流れ星になる事…二人は知る由もない。