次の日の遅がけ、修二がやって来た。
今か今かと…恋しい男を待ちわびていた月子、瞬時に顔が綻んだ。
「修二さん、いらっしゃいませ」
「よっ!」
ボーイが、水割りの支度とキープボトルを持って来た。
グラス一杯分しか残っていないカミュ・ロワイヤル。
「あっ、一本入れといて」
いつもながらの気っ風の良さ、修二の内情が……切羽詰まった窮地にいる事など、月子は全く知らない。
「月子…俺ね…今さ、仕事が大変な時なんだ。これから忙しくなると思うから、今までみたいに頻繁には来れなくなるよ」
「わかったわ、無理しなくていいよ。私、大丈夫だから」
「来れる時は出来るだけ来るからさ、待たないで…待っていてくれ、ちょっと変な言い方だよな」
「待たないで待つ…そうするわ。修二さん、仕事頑張って、私、ここでずっと待ってる、ううん、待たないで待ってるから」
「ありがと」