公園の緑の中を進み、
木陰にある鋳物製のベンチに
腰掛け束の間、風景に溶け込む。
こんな陽射しの下での
読書は何年振りだろうか‥
心地良い風、
ジャックラッセルテリアを
連れて道行く人。
辺りには緩やかな時間が
流れていた。
しかし、本を読み進めるうち
仕事前の時間と言う事もあり
完全に本に没頭する気には
なれなかった。
数ページ進めた途中で読書を
切上げてブックエンドを
挟めておこうと探してみたが
いつもならサービスで
店のロゴが入ったブック
エンドをくれる筈だが
今日に限って入っていない。
やむを得ず彼はページを
憶えておく事にした。
《13》
エリオットは、目にした
ページの数字にギョッと
なった。
まただ!
『いい加減にしろ!
なぜ付きまとう‥?』
思わずエリオットは
声にして吐き捨てた。
突然の彼の声に辺りの人々が
振り返り見ている。
『‥なんでもない‥
なんでもないんだ!』
エリオットは足早に
公園を後にした。