エリオットはこれが夢で
目が覚めたらベッドサイドの
ランプが、ぼんやりと
見えれば良い‥

その時は神に感謝しよう‥
と願った。


意を決して
恐る恐る目を開ける‥








〔黒の13〕



白いボールは確かに
そこに落ちていた。



『 素晴らしい!!! 』



老紳士は自分の財産が
36倍に膨れ上がった事に
興奮を隠せ無かった。


エリオットはこの悪夢とも
良夢ともつかぬ状況に
全身の力が抜け、へなへなと
その場に座り込んだ。


老紳士は、約束は約束だからと
自分の銀行口座をエリオットに
教えようとした。


しかし彼は頑なに申し出を
断った。


そして深呼吸すると、
老紳士に提案を持ち掛けた。


『もう一度、賭けをしたい。』


老紳士は片眉を上げながら

『欲張るとロクな事に
ならんぞ!』

そうたしなめた。


エリオットは頭(かぶり)を
振ると、もしも自分が
勝ったなら財産の半分
を貰い、負ければ全額を
返すと言う賭けを持ち掛けた。


エリオットは老紳士に
全額返すつもりで再び
黒の13を選んだ。


同じ数字が続けて出る
確率は、そう無いだろう‥。