まだ空が薄紫色の早朝

けたたましい電話の音で
起こされたエリオットは

手探りでベッドサイドにある
電話機を掴んだ。


[04:58]


目を細めながら傍らの
デジタル時計の
四角い時刻を見て
受話器を耳元へ運ぶと


『 はい‥、 どなた?』


あから様に不機嫌な様子を
声に変換して電話の相手に
送り込む。


知っている限り、
エリオットの周りには
こんな時間帯に電話を
掛けて来る様な者は
居ない筈だ。



『 ‥13‥。』



電話の相手は唐突に
一つの数字を告げた。



『 何だって?… 』



『 ‥13だ…。 』


それだけ言うと電話は
プツリと切れた。


『 まったく!こんな時間に
イタズラ電話か?
ふざけるな! 』


エリオットは乱暴に
電話機を置くと、再び
ブランケットに潜り込んだ。


浅い眠りの中、
さっきの電話の
嗄がれた(しわがれた)
男の声が一つの数字を
繰り返す‥



『‥13‥13‥13‥13‥』



『 Damn it! 』



エリオットは
苛立ちながら再び
ブランケットを
撥ね除け、ベッドから
よろよろと這い出した。