そんな時、総二郎と出会った。
酔って気を失っているところを
助けられた。

総二郎は小さな女の子と共に
暮らしていた。

源丞は女の子の経緯を知り、
自分の過去を総二郎に話した。
その子を自分と同じような目に
遇わせたくないと。

その子の為に生きると決めた
のである。

「想の為なら、何でもする。
叔父さんも俺に対して、そんな
感情を持ってたんかなって、
思うんや。今まで、そんなこと
考えもしなかった」源丞はまた
笑っていた。



昼食も採らず、秦利は屋上で空
を眺めていた。

子供の為なら親は死ぬこと
だって出来るのだろうか?なら
何故両親は自分を捨てた?

自分は愛されていなかった。
そうなのだろうか?

「秦利!!」高い声が聞こえた。
頭を持ち上げると、やはり想の
姿があった。

「俺、買い物当番やねん。一緒に
行かへん?」想は元気だ。

この暑さもはね除ける元気さ
でもあるのだろうか?
秦利は暑くて仕方なかった。

だが、ここにいれば、両親のこと
を考えてしまう。ならば気を
反らした方がいいと、秦利は想
に付き合うことにした。