「秦利、知っとる?願いの赤い
月の話…」想は言った。
願いの赤い月……
それは夏になると、ごく稀に
見ることの出来る月。
赤い月が見える夜には奇跡が
起きる。そう言われていた。
「奇跡が起きたらな…」想は
小さく呟いた。
想は祖父、銀次郎に呼ばれ、家に
再び向かった。
今日は月に1度の社内集会の
為、想も呼ばれたのだ。
「…では、社長の鮒橋銀次郎から
挨拶があります」司会が言い、
銀次郎にスポットライトが当て
られる。
変わり者の祖父だ。奇抜なセンス
を持っていて、自分の信念を
貫く姿はどことなく、想が受け
継いでいると言える。
央は想と反対側に立ち、音楽を
流していた。
「私は今日限りで、この会社の
取締役を辞職する!」銀次郎が
突然言った。
当然のようにざわつき、中には
泣く者もいる。
想は腕を組み、央は驚いた顔を
していた。
「そして、代表取締役に央。
専務取締役に想を就任させる」
銀次郎は言った。
拍手が起こり、央は驚いた顔を
したまま、想に投げかけた。
「お爺ちゃん、会社辞めちゃう
らしいよ」央は言った。
「うん、知ってる」
想は楽しそうに笑う、祖父の姿
を眺めていた。
月の話…」想は言った。
願いの赤い月……
それは夏になると、ごく稀に
見ることの出来る月。
赤い月が見える夜には奇跡が
起きる。そう言われていた。
「奇跡が起きたらな…」想は
小さく呟いた。
想は祖父、銀次郎に呼ばれ、家に
再び向かった。
今日は月に1度の社内集会の
為、想も呼ばれたのだ。
「…では、社長の鮒橋銀次郎から
挨拶があります」司会が言い、
銀次郎にスポットライトが当て
られる。
変わり者の祖父だ。奇抜なセンス
を持っていて、自分の信念を
貫く姿はどことなく、想が受け
継いでいると言える。
央は想と反対側に立ち、音楽を
流していた。
「私は今日限りで、この会社の
取締役を辞職する!」銀次郎が
突然言った。
当然のようにざわつき、中には
泣く者もいる。
想は腕を組み、央は驚いた顔を
していた。
「そして、代表取締役に央。
専務取締役に想を就任させる」
銀次郎は言った。
拍手が起こり、央は驚いた顔を
したまま、想に投げかけた。
「お爺ちゃん、会社辞めちゃう
らしいよ」央は言った。
「うん、知ってる」
想は楽しそうに笑う、祖父の姿
を眺めていた。