想は部屋を出て、冷蔵庫から
水を出して飲んだ。
ヒンヤリとした感触が胃に
伝わり、汗が引いた。

祖父はコーヒーの製造と販売
を手がけ、大金を得た。

本来ならば央と想の父が
会社を継ぐのだが、父は行方が
分からない。その為、今のところ
央と想が候補である。

元々、東地区に住んでいた祖父
と央だったが、想が西地区で
暮らしていると知り、こっちに
越してきたのだ。

「…想、会社にも顔を出したら
どうだ?」祖父が言った。

派手なスーツを着ている。
まだ仕事の途中なのだろう。

「うん…」想は冷蔵庫の扉を
閉めると、足早にその場を後
にした。


「想さん!!」家の1階にある
会社に降りていくと、数人の
社員に声をかけられた。

「想!これ、どう思うよ?」
央はひたすらミニチュア模型
を並べ、小さなジャングルを
作り上げている。

だが、周りの植物の大きさに
対して、動物は遥かに小さい。

「動物小っちぇえーって感じ
だよね」さりげなく言い、
大きめな動物の模型を置いた。

「ダメだよ、想…折角、きちんと
並べたのにー」央は模型を
退かし、整頓した。