『総兄と拳ちゃんは俺が守る
から……優くんは安心して、
眠てていいかんな。
俺は強いんやもん……大丈夫
やで?』想は言った。
男っぽかった想だったが、
自分のことを“俺”と言った
のは、初めてだった。
強くなると決めた想は自分は
男だと言った。
「…大人は勝手だ…」秦利は
小さな声で言った。
施設に預けられ、周りと上手く
付き合えなかった。
友達、仲間……そんなもの、
必要ない。自分を信じるだけで
精一杯だった。
たった1人……秦利には信頼
出来る仲間が出来た。
秦利より2つほど下の純という
少年。秦利を“兄ちゃん”と
慕い、純は秦利といつも一緒に
行動していた。
秦利も純を可愛がっていた。
しかし、嫌がる純を強引に
父親が引き取った。自分の会社
を継がせる為に…
一度は見捨て、傷つけたくせに
自分の利益の為に再び純を
傷つけたことが許せなかった。
「…僕達は大人の玩具じゃ
ない…」秦利は言った。
拳は小さくなった煙草の火を
消し、捨てた。
そして、秦利の横顔を眺めて
掠れた声で呟いた。
「本当の家族ってよぉ、
何なんだろうな……」
から……優くんは安心して、
眠てていいかんな。
俺は強いんやもん……大丈夫
やで?』想は言った。
男っぽかった想だったが、
自分のことを“俺”と言った
のは、初めてだった。
強くなると決めた想は自分は
男だと言った。
「…大人は勝手だ…」秦利は
小さな声で言った。
施設に預けられ、周りと上手く
付き合えなかった。
友達、仲間……そんなもの、
必要ない。自分を信じるだけで
精一杯だった。
たった1人……秦利には信頼
出来る仲間が出来た。
秦利より2つほど下の純という
少年。秦利を“兄ちゃん”と
慕い、純は秦利といつも一緒に
行動していた。
秦利も純を可愛がっていた。
しかし、嫌がる純を強引に
父親が引き取った。自分の会社
を継がせる為に…
一度は見捨て、傷つけたくせに
自分の利益の為に再び純を
傷つけたことが許せなかった。
「…僕達は大人の玩具じゃ
ない…」秦利は言った。
拳は小さくなった煙草の火を
消し、捨てた。
そして、秦利の横顔を眺めて
掠れた声で呟いた。
「本当の家族ってよぉ、
何なんだろうな……」