朝はいつもと変わらなかった。

朝食の準備をする総二郎を
手伝う凌慈と、痴話喧嘩をする
源丞と想。

秦利は朝食の準備を手伝い、
その間に総二郎の鉄槌が源丞
と想に下った。

「総二郎、お前よぉ…」朝食を
終えた頃、拳が総二郎の車の鍵
を持って現れた。

「おぅ…あ、奴が秦利やで。
想と同い年の」眠そうに欠伸
をしながら、拳は秦利に頭を
下げた。


屋上で暇を潰していた秦利の
元に拳がやって来た。
煙草を吸い、眩しさに目を
細め、笑った。

「大人なんか、信じねぇって
感じだな」ボサボサの髪を撫で
つけるようにし、拳はフェンス
に体を預けるようにした。

「総二郎、今はあぁだけど、
元々刑事だったんだぜ?」拳
は煙を吐き出し、笑っている。


総二郎、拳、優詩の3人は中学
からの付き合いだった。

頭も良く、運動も出来た優等生
だった3人は同じ高校に進学
し、それぞれ自分の夢を抱えて
頑張っていた。

総二郎は刑事、拳は医師、優詩
は検察官になるのが夢だった。

高校卒業後、それぞれの進路に
進んでも、彼らは仲が良く、
付き合いは続いていた。