空くんの言葉をきっかけに、私たちは大通りに出た。
「ねぇ空くん!今日は久々のデートだねっ!」
「そうだなっ!ごめんな。最近はバイトばっかで…」
「もう気にしないっ!今日は―…あっ…この店…」
「この店がどうかしたのか?」
「う…ううん!!なんでもないよ!あははっ!行こう!」
「えっ…うん…」
無理矢理テンションを上げてみたはいいけど、次第に下がっていく。
それも無理はない…
さっきすれ違った店は結構高い指輪がたくさん並んでいる店。
空くんが前に女の人と指輪を楽しそうに眺めていた店。
「…美奈?気分でも悪いの?」
唐突な質問に困惑する私。
「ううん!!元気元気!…」
「そうは見えないんだけど…」
「大丈夫だよ!」
「無理しないでね…?」
…うるさいなぁ。
このとき私の中で何かが切れた。
「うるさいよっ!誰のせいだと思ってるのよぉ!」
私は、人前ということも気にせずに不満を撒き散らした。
「えっ…美奈?」
「見ちゃったんだもん!さっきの店で楽しそうに女の子と指輪を見てたのを!バイトだって…がんばってるんだって信じてたのに…最低だよっ!」
嘘。
最低なのは私。
「美奈…」
私を落ち着かせようとして、私の肩に触れる空くん。