「居た…っ。」

………………え?
振り向くとそこにはさっきの同じクラスの男の子。

たしか…九重かなめ…

見た目はギャル。
授業をしょっちゅうサボって喧嘩してる不良。

関わりたくないのに。

「…どしたん?」

あたしと同じ目線になるようにかがんで話しかける九重君。

どしたん?って…
あたしがいじめられてる事…

「知らないの?」

「え?」

「あたしがいじめらてる事しらないの?入学してから半年もたってるのに…」

ぽけっとあたしを見つめる九重君。

知る訳ないよね、あたしになんてみんな関わんないし…


「いじめ…?」

ぽそりと呟いてハッとする。

「なんかごめんなっ!?つれぇ事言わせちったな…」

「え?」

九重君から思いもしない言葉を聞いて驚くあたし。

貶されるのかって思ってた…。

「…その腕…」

「あっ…」

傷だらけの腕を見て九重君は唖然とした。
傷跡を必死に隠すあたし。

沈黙が流れる。

『キタナイ』『キモチワルイ』

二つの言葉が頭をよぎる。

…やめて、言わないで…

「これいつから…?」

「…中学入った頃」

「友達は?」

「そんなのいないよ…。」

「………」

また流れる沈黙がやけに痛く感じるのは何でかな…。


「…るよ」

「ん?」

聞き取れなかった九重君の言葉はすぐに分かった。