あたしを囲む人の目が、あたしを見下し、軽蔑の目で見る。

止めてやめてヤメテ…。


「人の男に手出すんじゃねえよ!!ブス!!!」

「調子のんじゃねえよ!!」

「まぢ早く死ねよ!!」


…手なんか出してない。
一言二言話しただけ。
先生に頼まれた事を伝えただけ。


言いたい事を飲み込み、あたしは俯く。

あたしじゃない人なら手出したとか言われない。
あたしだから…
あたしだから、気に入らない。

そんな理由なんだ。
くだらない。

そう思うのに何もできない
反抗すらできない

弱虫なあたし。


「あ…お腹減ったし、学校抜け出さない?」

一人が言う

「んだね。もー今日は、コイツいじめんのも飽きたしね。」


…逃げなきゃ。


とっさに、あたしは走り出す。

「あ!てめえっ逃げんじゃねーよ!!」

そんな事言われて逃げない人なんていない。

「おい!!田山紗月っ!!」

フルネームで呼ばないでよ。

「~~~~!!!!」

やっと声聞こえなくなった。



ドンッッ


「きゃ…っ!」

「うわ…っ」


何かにぶつかって尻もちつく。見上げれば同じクラスの男子。

怖くなってまた逃げ出す。




関わりたくなかった。
近寄りたくもなかった。

ただ
誰とも関わらないで卒業したかった。




何でぶつかったのが、あなただったのか。なんて…今は、もうどうでもいい。
むしろ幸せだったよ。