ユリは家に帰りたくなかった。


それは
お気に入りの席を
とられた事からの苛立ちではなく、

毎日毎日のこと。





ユリの家は
父親・母親・兄・妹
の5人家族。
母親は働きにも出ず、
家でテレビを見てるか
寝ているかである。
日に当たらなく、
真っ白で
ひょろひょろな姿は、
しおれたモヤシだ。


数年前に、
それまで働いてた会社を辞め、
今に至る。
辞めた理由は知らないが、
自ら退職したらしい。


今も昔も
何を考えてるかわからない女だ。





だからか父親は、
かなりしっかりしている。

朝、速く家を出て、
夜遅くに帰ってくる。

それから、
モヤシがためた家事を済ます。


その繰り返し、だと思う。
会うことが少ないから
よくわからない。