「響」

「えっ?」

「俺の名前、響。お前は?」

「まっ・・間宮 千秋デス。」

「千秋か。」

って呼び捨て??

そんな心の声も虚しく、響が続ける。




「千秋、いつもここでピアノの音聴きながら泣いてただろ?」

「・・・なんで知ってるの?」

「あそこから、見えんの。」

って彼の指さす方向には音楽室で


ますます頭の中が?でいっぱいになった。



「いつも弾いてるのは俺だから。」

ニカっとはにかんでこっちを見たとき

不覚にも胸がぎゅっとつかまれたきがする。


「俺が弾いてると、いつも誰かの泣いている声が聞こえてた。」


見られていたということに恥ずかしさで顔を真っ赤にした。


それでも、響の声は止まらなくて


「誰なんだって思ってた。
俺の不細工なピアノの音を聞いて泣いてるのは・・」


「・・そんなことない。」


そんなことないよ。

いつもあの音に助けられてた。