「・・・・」
「・・・・」
そこに立っていたのは知らない男の子だった。
じっとこちらを見ていて、どうしたらいいかわからなかった。
「ねぇ」
びくっと音がするんじゃないかっていうぐらい
あたしは驚きを隠せなかった。
「あんた、いつも日直なわけ?」
「へっ・・?」
考えてもみなかった問いに、思わず変な声がでる。
「えっと・・それ・は」
男の子は教室に入ってあたしに近付いてきた。
さっきまで泣いていたはずの顔はいつのまにか真っ赤な困った顔になっていた。
おどおどしている間に
彼はとうとうあたしの前にきてしまった。
「あんたには口ないわけ?」
ツンとした冷たい声に、なんであたしが知らない人にここまで言われなきゃいけないのよ。
彼の顔を見ることができず、ぎゅっとスカートを握った。
「口がある・・声がでるのに、伝えないなんてもったいないくない?」
「えっ・・」
冷たかったはずの声が、穏やかな声に変わったような気がした。