錦屋の娘は、若く美しかった。
お武家は勿論、たくさんの縁談が舞い込んだが、於琴はそれを全て断った。
縁談先は理由を聞こうとするも
於琴は頑なにやんわりと微笑んで、
首を振って告げた。

「私は、病で先が短う御座ります。こんな娘ではたいして役にも立ちませぬ。それに万が一結婚しましても、子は産めぬやら、旦那様には迷惑かけるやら…私は、出来るならばあと短い命を父母の為に使いたく思うたのです。」

そう聞くなり縁談先は涙ぐみ、
帰ってゆくのだ。