好きだけじゃ伝わらない。

まず初めに
私の自己紹介しても…
いいですか??



私の名前は
大川 美依亜(おおかわ みいあ)
高校2年生
文学部所属
図書委員会所属
国語の教科委員

趣味は
読書と写真を撮ること
あとは、人間観察


私は、とーっても地味な女の子です。


そして
とても暗いです。



友達はいます。
数が数えられる程度ほどに。




私は、男性恐怖症です。




ちょっとだけ…
ちょっとじゃないかも…

昔の話をしますね。

私が、男性恐怖症になった
理由を話します。


なんだ、そんなことか
とか思っちゃうかもしれません。


でも私はそれがあってから
恐怖症になってしまったんです。





あれは確か
私が高校1年生の春だった──。





私は中学生まで
いたって普通の女の子でした。


今よりは
明るかったと思う。




高校という
新しい環境に
期待と不安を抱いて入学した。





真新しい制服
真新しい友達


全てが新鮮だった。




すぐに友達も出来た。


何もかもが順調だった─。





歯車が少しづつ
狂い始めてたことに
私はまだ全然気がつかなかった…




このとき、もう少し慎重に
なっていたら…

何か、変わってたのかな…??




歯車が狂い始めるキッカケに
なる事件が起こったのは…



確か

ゴールデンウィークの最後の日。




休み最後の日
私は、図書館へ本を借りに行った。



図書館は休日最終日ってこともあって
混んでいた。




お目当ての本を見つけて
借りて図書館を出た。





「大川さん??」




後ろで私を呼ぶ声がして
振り返ってみた。




「はい、私が大川美依亜ですけど…
どちら様ですかぁ??」




私の名前を呼んだ人は
まったく知らない人でした。





「俺のこと…知らないかなぁ??
西野蓮って言うんだけど…」




に・し・の・れ・ん??




今となっちゃ
有名人だけど、その時の私は
西野蓮という人間を知らなかったのだ──。


よく考えたけどやっぱり分からなくて
頭をかかえていると西野くんはくすっと笑った。



「同じクラスなんだけど…
分からないかなぁ??」



西野くんにそう言われて
頭の中を整理してみた。




教室の机の配置と
名前と顔



なにせ、まだ顔と名前が
合わない人がいるのだ。




「分かりません!」




結構きっぱり西野くんに
言った。





「じゃあ、今覚えてよ。」



西野くんの声は
誰にも真似が出来ない
特徴のある声だった。


私は西野くんを
覚えようと
西野くんをじっと見つめた。


私よりも身長が幾分か高くて、
髪の毛は少し茶色い
二重で優しい目


はっきり言って
格好良かった…


こんな綺麗な顔をした男の子が
同じクラスだなんて…

知らなかった─。


「メアド交換しない??」



西野くんを見つめていると
西野くんがそう言った。




「私なんかで
よければ!!」



はっきり言って
嬉しかった。

私の携帯のアドレス帳に
男の子の名前は
溺愛してるお兄ちゃんと
お父さん
ぐらいかな…

だから私は嬉しかった。



その日
メアドを交換して
少し話をしてわかれた。



「また、明日,学校で」


西野くんとそう言って
わかれた。
優しい笑顔を見せてくれた。



家に帰ると同時に
西野くんからメールが届いた。



From:西野 蓮
Title:初メール
[蓮だよ
家に着いた頃かな??
今日はありがとうね]


それから西野くんと
毎日メールをした。
学校でも毎日話をした。



「ねぇ、今話してたのって
西野くん??」

友達に聞かれたので
[うん]と頷いた。


あの綺麗な西野くんのことだ
クラスでも有名だった。

その西野くんと話していたら
みんな羨ましがるに決まっている。



西野くんの狙いが
この時分かっていたら…


考えてみても
可笑しな話だ。


何の取り柄もない私のことを
西野くんのような男の子が
声をかけてくるのは
どう考えても可笑しい。



どうして気がつかなかったん
だろう…


いや…
本当は心のどこかで
分かっていた

でも
分かりたくなかった…



いつまでも
夢を見ていたかった…




今思うと
悔しすぎて
涙が出るよ…




夢はいつかは覚める。




その時が
時一刻と迫っていることに
まだ気がつかない。



12時になると魔法が解ける
シンデレラのように…
12時はすぐそこまで


迫っている────。



運命の日は静かにやってきた。

西野くんからの
メール受信完了の
お知らせのメロディーが
流れた。



From:西野 蓮
Title:大事な話
[これから
体育館準備室に
来れるかな??]


To:西野 蓮
Title:Re 大事な話
[大丈夫だよ]



そのメールを送信すると
私は軽い足取りで
体育館準備室に向かった。


私の本当の笑顔はこの日が
最後だった…




体育館準備室に行くと
西野くんは既にいて、
いつもと様子が変わっていた。


「美依亜。」

私の下の名前を呼ぶと
抱きしめて西野くんは
私の耳元で囁いた。

「好きだ──。」


次の瞬間は何が起こったのか
分からなかった…。


唇に柔らかい感触がある。