今日は快晴。



雲一つない、快晴。



天気予報では雨マークだったが、そんなの嘘。



この気持ちのいい透き通った空に、そんな要素は一欠片もない。


はずだった・・・




天音紗季(19)は窓から空を眺め、溜め息をつく。


原因は、朝から昼にかけて快晴だった空が、どこからかやってきた灰色の雲の大群によって覆いつくされてしまったからだ。




はぁ・・・雨、降るんだろうな・・・天気予報でも言ってたし・・・



紗季の髪はセミロングでストレートなので雨が降る前の湿気で髪がふくらむのが余計にわかる。



・・・傘、もっていけばよかったな・・・




今は授業中で、教授が手に教室の鍵をしっかりと握り締め、教科書の朗読をしている。



今から抜け出せば、雨に打たれずに家にたどり着けるんだけどな・・・



紗季は恨めしく握られた鍵を見て、また一つ溜め息をついた。




そして、とうとう窓の外では溜め息の素が地面を濡らし始める。




今日は最低だ・・・





教授「今日はここまでっ」



朗読が終わったのは、雨がすっかりまわりの景色に馴染んだ頃だった。



がやがやと生徒達が出て行く。

その手には皆、傘を持っている。



紗季「ここに居ても仕方ないよね・・・」



紗季はのろのろと立ち上がり、人の波に加わろうとした時だった。



???「ちょっと、お困りですか??お嬢さん」


後ろからいきなり肩を掴まれビクリとする。