少女は何が不満なのだろう…
リジーには理解出来なかった。
屋敷には温室番をはじめとした優秀なモノたちが揃っているのに。
何の不自由も無いはずなのに。


「わからないか。」
「わからないよ。」
「わからないなら、わからないでいい。付いてくるだけで構わん。」
「イヤだよ、わからないままは、」
「なに、贅沢モノの我儘だ。気にするな。」
「ボクには理解出来ない?」
「………、」
「沈黙は肯定、だね。」
「……不自由がないのが、不自由なんだ。」
「……?」
「贅沢な、悩みだろう?」


苦く笑う少女の言葉はやはりリジーには理解できなかった。
しかし、そんな表情は似合わないということは分かる。
分かるから、溜め息を吐きつつも少女の願いを叶えてやる為、リジーは大人しく採寸されることにした。

少女は大人しくなったリジーに、こっそり安堵する。