先輩の前だと、仮面が剥がれる。


「巴ちゃん。これ、何やと思う?」
委員会室で先輩に見せられたのは、青い包装紙に包まれた細長い箱。
「・・・先輩への愛の贈り物?」

先輩は頭に手を当て、違うなと一人で唸り始める。

「低血圧って思ってる以上に辛いんやなぁ思って、開けてみ」

綺麗に包まれた包装紙を剥がし箱を開けると、中には紫色のお香。

「ラベンダー?見た目的に・・・いや意外性で」
「意外性はいらんて。巴にやる」

「あ、あの。有り難う御座います」


いきなり呼び捨てにされ、動揺した私は、顔が赤いのを隠すために頭を限界まで下げる。

先輩は少し戸惑いながら、必死に顔をあげてと言い続ける。

「リラックスしたら、少しは楽に起きれる?」
「いつも無理矢理体を起こすんで、よく分かんない」


先輩は、私らしいと笑いながら机の上にあるジュースを飲んだ。


それが、先輩と私の最後の会話だった。