だからおれは、美麗を好きな渡里さんに、
「おれ本気で美麗狙うんで」
って言った。
自分の覚悟はできてる。
いくら渡里さんを尊敬してるからって、今回は先輩とか後輩とか関係ない。
どっちが美麗を思ってるか、なんだ。
「へぇ……いい度胸してんね」
そう言って無表情でおれを見つめる渡里さん。
その表情は喧嘩の時のように冷めていた。
「おれ負けないんで」
「ふうん……覚悟できてんだ」
覚悟?
当然だ。できてるに決まってんじゃん。
生半可な覚悟でこんな事しない。
そう思いながらおれは尚さんに視線を向けた。
おれは分かってる。
美麗は……。
だからおれは尊敬とかそういう憧れは捨てる。