佑騎 Side
何でだろう。
おれはこの女に全てを話してしまった。
おれが女嫌いになった理由。
それは母親と姉貴の暴力だった。
でも美麗はおれの話を真剣に聞いてくれた。
何も言わずにおれの話を聞いてくれた。
美麗は他の女と違うってその時思ったんだ。
いつの間にかおれは美麗を自分の手で守りたいって思ったんだ。
桜蘭の奴等に絡まれたときおれは何もできなかった。
あの時……尚さん達が助けに来なかったら……今頃、美麗は。
そう考えただけで体が震える。
おれはまだ弱い。
成月さんや渡里さんにも敵わないし、もちろん尚さんなんて雲の上の存在だ。
だからいつか成月さんのように強くなりたい。
渡里さんのように大切な人を大事にできるようになりたい。
尚さんのように全てを包み込めるようになりたい。
そしたらおれは美麗を守れる男になりたい。