あたしは尚の後姿を見つめたまま、立ち尽くした。



尚……。



あたしこの後起きる事なんて考えられなかったよ。



あの時……。



あたし達を見つめてる人がいたなんて、思いもしなかった。



その黒い影の恐ろしさを想像もしなかった。



黒い影がもうすぐそこに来ているなんて思わなかった。



だって……影の存在を、この頃のあたしはまだ知らなかったんだから。