昇降口でローファーを履いて、外に出ようとした時。



「美麗」



尚があたしの名前を呼んだ。



「何？」



振り返ると尚は、あたしの頭に手を乗せながら言った。



「佑騎の事……あいつ。ふざけてあんな事言う奴じゃねぇから。美麗がそのつもりないならはっきり言ってやれよ」



「え？」



「佑騎にとってもそれが1番いい事だと思うから」



告白の返事の事だよね？



尚は……ホントに仲間を大切にする人なんだな。



佑騎があそこまで尚を慕う理由が分かるよ。



「そうだね。分かったよ」



笑顔を見せながら頷くと尚は満足そうに微笑んだ。



それからあたし達は、あたしのマンションへと歩き出した。



歩いている間は沈黙が続いたけど、あたしはもっと帰り道が長かったら……なんて考えてしまった。



「じゃ、また明日な」



マンションの前に着くと尚はフッと笑いながらあたしを見下ろした。



「ありがとね。じゃ、またね」