尚……気使ってあたしの事ここに連れてきてくれたんだよね。



何も聞かずに、あたしをいつも助けてくれる。



優しい言葉をかけてくれる。



「ホント……優しすぎるよ」



あたしはゆっくりと尚の肩に頭を寄せて目を瞑った。



その優しさが苦しいよ。



その優しさが怖いよ。



その優しさが辛いよ。





尚……。



尚。



好きだよ。



自分をどうしたらいいのか分からなくなるくらいに。



“好き”って言葉言えたらどんなに楽なんだろう。



でも……我が儘言わないから、隣にいて。



お願いだから……。



これ以上我が儘言わないから。



尚の柑橘系の香水の香りと暖かい風に心が落ち着いたあたしはいつの間にか眠りについていた。