「ふぅん」



「女の武器な涙だって言うけど。あたし簡単に武器使うような女になりたくないし」



そう言ってあたしは俯いた。



すると尚はあたしの頭を優しく撫でた。



驚いて見上げると、尚は口を開いた。



「屋上、行くぞ」







尚について行ったあたしは、屋上の手すりに両手を添えて空を見上げた。



その後にゆっくりと尚はあたしの隣に寄りかかった。



そしてポケットから煙草を出して銜えると火をつけた。



それを見つめていると、尚は動きを止めて火をつけたばかりの煙草を床に捨てると足で消した。



「何してんの?つけたばっかじゃん」



そう聞くと、尚は遠くを見つめながら答える。



「お前が隣にいるだろ」



そう言って欠伸をした。



隣にいるから……あたしを気遣って吸うのやめたの?



「別に……気使わなくてよかったのに」



そう言うとあたしの頭をクシャッと撫でた。