可愛い笑顔をあたしに向けながら大きく手を振っている佑騎に、あたしは半ば苦笑いで手を振り替えしてあげた。
すると成月が渡里君の肩に腕を回しながら意地悪に笑った。
「ライバル、増えちまったな?渡里」
「うっさいな」
そう言って渡里君は頬を膨らませながら教室に入って行った。
「うわっ機嫌悪」
苦笑いをしながら成月は渡里君の後について行った。
廊下に取り残されたあたしと尚。
「……」
「……」
沈黙……重。
そう思っていると尚が口を開いた。
「大丈夫か?」
「え?」
思いもしなかった言葉にあたしは間抜けな声を出してしまった。
「何かお前……泣きそう」
そう言われたからあたしはハッとした。
「泣かないよっ」