「何で……?」
そう聞くと、尚はあたしを見ながら言う。
「どうしても縁を切れない奴が居るから」
縁……?
「どういう事?」
疑問をぶつけると、成月が止める様に口を挟む。
「いいだろ?あいつがこいつに話したくなったらで」
「そっかっ」
重々しい空気を換えようとあたしは笑顔を作った。
「そういえばさ。どうして3人で暮してるの?」
何気なく聞いてみると、成月は答えてくれた。
「いろいろあんだよ」
その表情はいつもの活気は消えてどこか寂しかった。
あたしは今までの3人がどんな奴だったかなんて知らない。
でも……。
今日一緒に居て、3人はそれぞれ複雑な悩みを抱えている事を感じた。
それがどれだけ大きな事かなんて、この頃のあたしには分かってあげる事はできなかった。