しばらくすると渡里君が部屋に戻ってきた。
するとあたしに申し訳無さそうに言った。
「ごめん美麗ちゃん……。オレ用事できたから帰るね」
無理に作った笑顔。
その笑顔を見て胸が痛んだ。
聞きたいけど、聞いちゃいけない。
あたしは笑顔を作って言った。
「そっか。じゃ、また明日ね」
「うん。バイバイ」
渡里君はそう言って部屋を出て行った。
すると尚はあたしに言う。
「そんな寂しそうな顔すんなよ」
何でそんな……切ない顔すんのよ。
尚の顔を見て思う。
「別に寂しくなんかないよ」
そう言うと尚はフーっと息をついて重い口を開いた。
「渡里は……明日学校に来ない」