また……あの瞳をしている。



すると、誰かの携帯が鳴った。



その音を聞いた瞬間。

渡里君はバッと立ち上がってあたしを見下ろした。



「ごめん。ちょっと出てくるね」



「あ……うん」



そう頷くと、渡里君は強張った表情で部屋を出て行った。



……渡里君?



「またか……」



そう呟いた成月。



「またって?」



そう聞いてみるけど、成月は少し焦ったように首を振った。



「いや、こっちの話」



そう言って甘そうな紅茶を飲み干した。



嫌でも察してしまう。


いつもと違う渡里君の表情から。

いつもと違うみんなの様子から。


でも……深く聞くのも悪くないよね。


だって……あたしだって嫌な事深く聞かれるの嫌だし。



そう思ってあたしは何も言わずに紅茶を口に含んだ。