「それにその色、尚に似合ってるしね!」
そう言った瞬間……。
尚はあたしを抱きしめた。
きつく……きつく抱きしめた。
「……ありがとう」
その声はいつもの強い口調とは違って弱々しかった。
その声を聞いて胸を締め付けられた。
あたしはその広い背中に腕を回して頷いた。
「……うん」
そう頷いてあたしは尚から少し離れた。
「……美麗?」
少し驚いた顔をする尚にあたしは微笑んだ。
「……尚」
ちゅ……。
初めてあたしから尚にキスした。
一瞬だったけど。
それが自分の中で精一杯のキスで。
あたしは俯いて赤い顔を隠した。