突然尚が謝ってきて、あたしは間抜けな声を出してしまった。
「巻き込んだ事には変わりはない。悪かった」
その切なげな表情にあたしは焦る。
「いや。別に怒ってないし。気にしてないし」
そう言って手を振ると、その手を尚は掴む。
「でも……女に怪我をさせた事には変わりない」
ドキ……。
ねぇ尚。
何であなたは、そんなに完璧なの?
その完璧さが罪だよ。
あたし……。
あなたに心奪われてしまった。
もしかして、これが恋って奴なの?
でも不安だよ。
あたしはホントに……。
素直にあなたが好きだって事認めていいのかな。
渡里君に優しく包帯を巻いてもらっている間。
あたしは複雑な気持ちに駆られていた。