「それにあたし……尚のその色好き」



そう言ってあたしはポケットの中の手をギュッと握った。



その髪色に恋したの。



その髪色の尚に恋したの。



「だからそのままがいい」



そう呟くと、尚はフッと笑った。



「そうか……」



「あたしね?琴羽さんの分まで尚を愛するって決めたの。だから尚はそのミルクティー色の髪のままでいてほしい」



琴羽さんの想いを忘れない為に。



琴羽さんの好きだったミルクティー。



尚が好きなミルクティー。



その色はいつの間にかあたしの好きな色にもなっていた。



好きになったのは、尚の好きな飲み物であって。



尚の髪の色だったから。



この色があたしを安心させるの。



この色があたしを幸せにするの。