夕日の光でミルクティー色の尚の髪が金色に見える。



それが凄く綺麗で見惚れていると、尚はその視線に気付いて自分の髪をクシャッとした。



「俺……髪色変えようかな」



「え?」



「お前何色好き?」



って。



「ちょっと待ってよ。何で変えるの?」



この色は琴羽さんが好きだった色なんでしょ?



「言ったろ?俺は前に進むって。だから……俺にはもうこの色はいらない」



そう言って尚は自分の髪を見つめる。



「そんなの駄目だよ」



「ん?」



「そんなの駄目だよ」



「美麗?」



「前に進むっていうのは、琴羽さんを忘れるって事じゃないんだよ?」



そうだよ。



忘れるって事じゃない。



それを胸に置いてこの先を生きるって事でしょ?