尚が凛に頼んで江連を帰らせて、学校はいつもの落ち着きを取り戻した。
放課後になって、あたしと尚は渡里君達と別れて2人で帰る事にした。
「何か……今日は騒がしい1日だったね」
そう言うと、欠伸をしながら尚は呟いた。
「そうだな」
「でも江連と尚。結構仲良さそうに見えたよ?」
ほら。喧嘩するほど仲がいいって言うしね。
すると尚はすごい嫌そうな顔をした。
「何であんな奴と仲良くなんなきゃいけねぇんだよ」
ってははは……。
心の中で苦笑いしていると、尚はあたしの手をキュッと握った。
「寒く……なってきたな」
季節は冬に近づいて来て寒くなってきた。
「うん」
そう頷くと、尚はあたしの手を握ったままズボンのポケットに手を突っ込んだ。
「暖かい……」
そう呟くと、満足そうに微笑んだ。
「だろ?」