保健室。



先生の姿はなく、渡里君はあたしを椅子に座らせるとその向かい側にある先生専用の椅子に腰掛けた。



「先生いないみたいだし。オレがやるね」



そう言って近くにある消毒液を手にした。



尚は何も言わずに壁際にある大きなソファに腰掛けて長い足を組んだ。



それを見ながら成月は、頭の後ろに腕を回して溜息をつく。



「ったく何でこういう時。センコーはいねぇんだよ」



そう言いながらベットにドカッと座るとあたしを睨んだ。



「つーか、怪我するお前が悪い!!」



その言葉にムッ。



「元はといえば、あんなとこで喧嘩するあんた達が悪いんでしょ!?」



室内で喧嘩する奴等が悪い。

ガラス割る非常識な奴等が悪い。


あたし一切悪くないし!!



成月を睨んでいると、あたしを宥めるように渡里君は言う。



「落ち着いて美麗ちゃんも、成月も。美麗ちゃんの言う通りだし」



そう言って成月を渡里君が見ていると、ゆっくりと尚が立ち上がってあたしの元に歩み寄ってきた。



「悪かったな」



「え?」