咲ちゃん……お母さんは言いすぎなんじゃ。
そう思ったけど、見てるだけのあたし。
すると咲ちゃんは申し訳なさそうにあたしを見つめた。
「ごめんね?ホントに心配性なんだから……」
そう言ってスタスタと去って行ってしまう渡里君を見る。
「でも……大切に思ってるから心配で仕方ないんだよ?」
あたしだってそうだし。
「うん……分かってるんだけどね?ホントに大丈夫なの」
そう言って咲ちゃんは自分の席に着いた。
「でも……あんな渡里君初めて見た」
怒りっぽくて、何か子供みたいで。
いつもの落ち着いた感じと違う。
「咲ちゃんにはホントの自分さらけ出してるんだね」
「そんな事ないよ。あれはあたしが言いすぎて怒っただけ」
そう咲ちゃんは言ってたけど、
やっぱり信頼してるからこそホントの自分が出て来るんだと思う。
渡里君のその姿を見てあたしは何となく安心した。