尚 Side
お袋にも甘えた事なんてなかったのに。
人に甘えるって事をした事なかったのに。
俺は自然に美麗に甘えてた。
俺の知らない俺がそこにいた。
まるで……もう1人の俺が暴走してたみたいに。
それを受け止めてくれる美麗を見て、俺は言葉にできないほどの安心感を感じた。
美麗……。
お前は俺の知らない俺を引き出してくれる。
思いもしない俺を引き出してくれる。
ハッと目を覚ますと、俺の胸で寝ていた筈の美麗は俺を膝枕していた。
「……」
あれ?
いつの間に……。
そううつろな目で考えていると、俺が起きた事に気づいた美麗はニコッと可愛い笑顔を見せた。
「おはよ……」
そう言って俺の髪を撫でた。