その表情はさっきとは別で、茶色の瞳は澄んでいた。
吸い込まれそうなほど綺麗な瞳に、あたしはドキッとする。
心臓の脈が激しくなるのを感じながら、あたしは尚の手を掴んで立ち上がる。
「ありがと……」
掴んだ手を見ると、大きくて骨っぽくて。
とても綺麗な手だった。
女のあたしの手以上に綺麗かもしれない。
すると尚は渡里君と成月の顔を見て口を開く。
「こいつの手ガラスで切ってる。とりあえず保健室行くぞ」
その言葉に慌てて自分の手を見ると、飛び散ったガラスで切ったらしい切り傷を見つけた。
ホントだ……。
さっきの事があって全然気付かなかった。
すると渡里君は頷いてあたしに近づく。
「行こうか。美麗ちゃん」