「あいつは……おれ等が何年かかったって越えられなかった線を短期間でなくした」
また独り言のように呟く成月。
確かにそうだった。
オレ達ではできなかった、“線を越える”事を美麗ちゃんは何のためらいなく越えた。
それは本人は気付いてないみたいけど、多分……才能ってやつなんだろうな。
「まぁ……美麗には頭が上がんねぇな」
そう言って頬杖をついたまま苦笑いする成月。
「あぁ……そうだね。同感だよ……」
微笑みながらそう呟くと、成月は大きな欠伸をした。
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