蹲る男を冷たい視線で見下ろして、尚はフッと笑う。
「俺に喧嘩吹っ掛けた割には弱ぇな……あ?」
ドカ!!
「う゛!」
鈍い音がした途端。男の苦しむ声がした。
尚は男の腹を足で踏みつけた。
6人居た3年の男達は、尚1人の手によって呆気なく倒された。
……すごい。
これが、鈴蘭を仕切っているトップの実力なんだ。
呆然と立ち尽くしていると、あたしは力が抜けてその場にストンと座り込んでしまった。
すると渡里君があたしの所に心配そうに駆け寄ってきた。
「美麗ちゃん!…大丈夫だった?」
今にも失神してしまいそうなあたしは、少し遅れて渡里君に返事を返す。
「う、ん……大丈夫」
そう返事を返すと安心したように渡里君は優しい微笑を見せた。
すると尚はあたしに近づいて来てあたしを見下ろす。
「立てるか……?」
そう言ってあたしに手を差し伸べてきた。