そう言って笑いながらあたしの頭を撫でた。
そしてあたしの頭に口付けながら呟く。
「琴羽の事で……俺、この指輪捨てようとしてた。でも……できなかった」
「ぅえ?」
涙目で尚を見つめると、尚は笑う。
「きっと……この先お前に出逢えるって……体が分かってたのかもしれねぇな」
なんて言わないでよ。
せっかく落ち着いてきたのに、涙が止まんないじゃん。
「尚ぉ~~!!!ええーん」
大泣きするあたしを呆れたように微笑みながら、尚はあたしの右手の薬指に指輪を通した。
「今はまだ……こっち、な?」
そう言って左手の薬指にキスした。
「いつか……俺が自立するまで待っててくれ」
そう言われたら、あたしの答えは決まってる。
「うん」
迷いなんかない。
あたしには尚しかいなくて。
尚しか考えられないんだもん。