「俺さ……。こんな形でしか、感謝の気持ち表せないけどさ。お前に出逢えてホントに感謝してる。凛や江連の事とか、渡里達の事とか。お前が今こうして俺の隣にいてくれる事も。全部に感謝してるんだ」



すごく優しい顔でそう、あたしの目を真っ直ぐに見つめて呟く尚。



「お前を産んで育ててくれた両親にも感謝してる」



そう言って尚はあたしの手を握った。



「……っ」



尚の言葉が心に響いて、あたしの目に涙が溜まって視界がぼやけ始める。



そんなあたしを見てクスッと尚は笑うと、尚はその小さな箱を開けた。



ぼやけた視界でも分かる。



それが……指輪である事が。



シンプルなシルバーリングで、前から尚がつけている指輪と同じものだった。



「この指輪は……俺が小さい時、梨佳が渡してきたもんなんだ。“いつかホントに生涯を共にしたい”って思った人に渡せって」



いつか……。



「ふぇ~な、おぉ~!!」



自分でも何言ってるか分かんないよ。



でも尚があたしを想ってくれている事がホントに嬉しくて。



ホントに幸せで涙が止まらない。



「お前……泣きすぎだろ」