「ん……。尚?」



可愛らしい高い声が俺の名前を呼ぶ。



我に返って、俺は下を見ると、美麗が優しく微笑みながら俺の頬を撫でた。



「……どうした?」



微笑みながら、トロンとした目で寝ぼけている美麗に声をかけた。



「尚は……1人じゃないよ」



「え?」



俺の笑顔が引きつる。



「尚は……あたしが守るからね」



そう言って、俺の頬を撫でている手がストンと落ちた。



「寝言……なのか?」



すぐにスースーと寝息が聞こえてきて、俺は笑みを溢した。



美麗……。



お前に出会わなかったら、俺はきっと一生女を好きになる事はなかった。



俺の強い意志を壊したお前だから……。



俺はもう一度人を愛そうと思えたんだ。



「ありがとな……」



そう呟いて、美麗の柔らかい髪を撫でた。



何が何でもお前を守る。



現実の厳しさを知ったからこそ、守ると決めた。



何故なら、お前と一緒なら現実の厳しさをも乗り越えられる強さを手に入れられる気がするから……。